リチウムイオンバッテリー使用レポートその1

こんにちは!

私もようやく明日から”ゴールデンウィーク”なるものに入るみたいですが、何だかんだとスケジュールが埋まっておりまして…ちょっと気が休まるのは5月5日に池原で飲み会(?)というかバーベキューがあることかな。

さて、タイトルにある通り、今期よりリチウムイオンバッテリーを導入してみました!

皆さん興味あるでしょう?そう、「めっちゃ高いけど、どうなの?」的なヤツです。

僕もおっさんなので、バッテリー何個も持つのはツライですし、”時代の流れ”にはついて行かないといけないしで、「電子デバイス野郎」としてはある意味”人柱(ひとばしら)”になってみて日本でも普及するならという感じです。事実、アメリカのBass Master Eliteシリーズに出場しているエリートプロの多くは既に導入済み。アメリカの試合に出ている日本人選手も使っているようです。

以前、「一次ブーム」みたいなのはありましたよね?その時は今一つイイ話を聞きませんでした。なので、僕自身もかなり懐疑的な見方をしています。ただ、実際に使ってみないことには分からんということで、大きな一歩を踏み出すということにしてみました。

なんせ、私の準ホームはエレキオンリーの三瀬谷ダム。エリア最下流から最上流のバックウォーターとなる江原橋までは距離にすると8kmもあります。そんな過酷なエレキレイクで使えるのか??

いろいろ試して来ましたよ!

今のところの感想をどうぞ。

どんなバッテリー?

今回導入したのは、プロショップオオツカさんのオオツカオリジナルリチウムバッテリー

36ボルトの60アンペアアワーモデルです。

サイズは横幅44.5cm、重さは何と22.5kg!

某メジャーなバッテリーの27MFよりも2kgほど軽いです。しかも1個で36ボルト

ちなみに、このAh(アンペアアワー)ですけど、簡単に言うと、「60Aで使うと1時間でカラになっちゃいますよ」という意味。なので、通常40~45Aで使うハイパワーエレキには「ちょっと頼りないんじゃないの?」と不安になるところです。今まで使ってた鉛バッテリーだとだいたい105Ahですからねぇ。それに比べると明らかに少ない。

そして、、、

何たって、お値段ビックリの323,784円!

そして必要なのがこちらの専用充電器。こちらお値段45,792円。

そう、みんな「お値段に見合う物なのか?」が気になるところのハズなんですよね。

使ったお舟

はい、僕が普段池原や三瀬谷の試合やガイドで使っている、ステーサー390レイカーです。

フロント:モーターガイド ツアー TR-109(36V)

リア:ハイガー 110ポンド(24V)

バッテリー構成:オオツカオリジナルリチウムバッテリー1個、某バッテリー27MF2個(ハイガー用)、某バッテリー24MF(アクセサリ用)

それにタックル類、体重75kgの自分(デブったなぁ…)が乗ります。

ワイドな艇体なので、エレキの消費電力は結構なものです。

実際に使ってみました

はい、見てください。こんな感じで使い込んでおります。

4月15日に導入して、昨日までに7回の使用歴。スペック上では2000回以上のリチャージが可能とのことなので、まだまだ”使い始め”な感じですね。マスターズ戦とチャプター戦も2回実戦投入しており、かなり過酷な使い方です。

注目して欲しいのは上の写真の2回目と3回目と6回目。とてもエレキのみで走る距離とは思えないようなアホな長さを走ってます。

2回目のマスターズ前日プラの三瀬谷での移動距離はおよそ14kmになります。3回目のマスターズ本戦もほぼ同じ距離。

6回目のチャプター三重は青蓮寺ダムですが、移動距離はこちらもおよそ14km。

それぞれ、グーグルアース上での概算なのですが、これ以上に三瀬谷の場合はクリークに入ったりしてるので、実際はそれ以上に距離がある可能性があります。

が、、、これで「バッテリー無くなった」ということはまだ一度も遭遇していません…ずっと全開という訳ではありませんが、試合中の大移動などはそれなりにパワー上げて移動しました。

実は、リチウムイオンバッテリーというのは、構造上100%放電する訳にはいきません。なので、残り10%になると内部の回路で判断して自動的にカットします。プロショップオオツカさんのサイトにある大塚プロのレポートに掲載されている放電特性なので、ほぼ最後までパワーダウンを感じることが無いようです。実際にまだ電力がカットされる状況まで行ったことが無いので、まだどうなるのか体感はしたことがありません。

ただ、これだけの距離踏んでても、後ろのハイガーに使ってるバッテリー(昨年後半に購入。しかもリアの方が使用頻度少ないハズなんですけど)の方が両方”真っ赤”になってます。

60Ahあれば、余裕で持つようです。

速度

前後のエレキ全開で最高速は9.0km/h(GPS読み)でしたが、だいたいフロントは7~8割くらいで踏むので8.5~8.7km/hと言ったところが多いです。私自身はあまり最高速に興味が無いのですが、以前より速くなったおかげで、移動も気にしなくなりました。

充電

さて、上の写真をもう一度見てみてください。

右側の2列が「充電開始時間」と「充電終了時間」です。厳密には、ガレージで充電しているのでずっと監視している訳では無く、「見に行ったら充電完了してた」時間です。

ほとんど2時間以内に終わっています。とにかく早い!!!

7回目に使用(4月30日)はおよそ2時間ちょっとの釣行でしたが、帰って来て充電器に掛けて”DEXの森くん”とガレージで話し込んでいる間に充電完了しました(笑)

20Aと表示されているのが、徐々に0.1Aずつ小さくなって行き、最後0.0Aになって右側の赤のランプが緑になって充電完了。実際に充電完了のシーンを見るとあっという間。二人で笑ってしまいましたよ(笑)

ちなみに、およそ43Vで20Aという通常のバッテリーチャージャーではあり得ないような電圧と電流で充電してきます。普通、「急速充電ってロクに充電されてない上にバッテリーに悪いんじゃないの?」と思いますが、充電されたバッテリーを触っても熱いどころか、温まってさえもいません。充電した翌日もしっかりと長距離動いてくれてますし。

と、今のところの使ってみた感想はこんな感じです。やたらメリットだらけなように感じますね(汗;

耐久性は?

先ほども書きましたが、リチャージ耐性は2000回以上ということで、既存のディープサイクルバッテリーのスペック上の400回のおよそ5倍。ただし、これだけは実際にやってみないとまだ不明ですね。ノートはマメに取っていきますので、今後のレポートをお楽しみに。

充電回数以外だと、使用できる温度ですね。リチウムイオンバッテリーは基本的に低温に弱いとされています。リチウムイオンバッテリーは正極(+極)の材料によっておおまかに6種類に分けられますがが、このリン酸鉄リチウムバッテリーの場合は一応マイナス20℃くらいから50℃くらいまでの範囲で放電出来るようです。こちらもまだ低温(例えば冬の池原など)での使用は出来ていないので、今後観察していきます。

耐衝撃性についても、まだ不明ですが、そのうちバスボートや390でエンジンで使ったりしますので、こちらも経過をノートに書いていきます。

安全性は?

上にも書きましたが、「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」は比較的安全な方に振ってあると言ってイイかと思います。リチウム原子はイオン化しやすくエネルギーが大きな原子なので(バッテリーの構造やイオン化についてなどは結構説明が長くなるので、後日時間がある時にでも書きますが…)、急な圧力変化などはかなり危険ですが(スマホのバッテリーなどを潰したりすると内部ショートが起きて爆発するのはこのため)、このバッテリーは容積的にもセルの距離が取れているように思えますので、それほどシビアに考えなくても良いのかもしれません。

一応、バッテリートレイには衝撃吸収してくれるクッション材を敷いてあります。

まだ、トラブルも何も起きていないので、何とも言えませんが、今のところは大丈夫です。

バッテリーを扱う時はくれぐれも感電には気を付けましょう。正負(+-)両極を同時に触る事は無いかとは思いますが、耐電手袋を使用することをお勧めします。なんせ、直流36Vの高電圧ですので、危険と言えば危険です。配線のショートにも気を付けましょう。

私のツアー109はペダル横のスイッチを殺してあります。が、その状態でターミナルに端子を付けるとパチッと火花が散るので、キサカダイレクトさんで売っているBlueSeaの50Aブレーカーを付けました。あくまでもスイッチ替わりとしてですが。こちらをカットした状態で繋げて、+-両方のケーブルをつなぎ終えてからONにしています。

デメリットは?

皆さんはこちらが一番気になりますよねぇ??自分も今までいっろいろ試してきて、「あー、やっぱダメかぁ」を繰り返してきたので…

バッテリーレイアウトを変更する必要がある

今までこのステーサー390レイカーは以下のバッテリーレイアウトで使用していました。エレキレイクでの使用の場合です。

フロント:某バッテリー27MF×2

リア:某バッテリー27MF×2プラス24MF×1

これはフロントにツアーの82ポンド(24V)、リアにハイガー100(24V)

この時の参考速度はおよそ7.3~7.5km/hでした。

フロントの重量は24.5kgが2個でおよそ50kg。

リアは70kgと言ったところでしょうか。それに自分が乗るので、元々フロントヘビーな状態でした。試合中もライブウェルの水を吸ってくれないことがあって「改善したいな」とは思っていたのですが、今回このバッテリーを導入するにあたって、フロントエレキとバッテリーレイアウトの変更をしました。

現在は、

フロント:バッテリー無し

リア:リチウムインバッテリー(22.5kg)、某バッテリー27MF×2、24MF×1

このようになっています。計算上、リアがおよそ90kg、フロントに自分が乗って75kgと結構マトモな重量配分になりました。ちなみに、今のところリアのエレキに既存のバッテリーを使っているのは、この重量配分を保つためと比較対象とするためです。

このレイアウトで試合でも使えているので、ちょうど良いのかもしれませんが、レイアウト変更の手間は「デメリット」と言えるかもれません。さほど難しい作業では無いですけれども。

衝撃に強く無い

実は既存のバッテリーでも同じなんですけど、とにかく雑に扱えません。ドーン!と地面に置くとかはもってのほかです。まぁ、当たり前と言えば当たり前なんですけど。

今後、バスボートなんかでも使って行く予定です。アメリカでツアープロが激荒れの中走ってるんだから、大丈夫な気がしますが(汗;

ターミナルがボルト

写真のように、今までみたいに蝶ナットのターミナルではありません。ボルトです。

しかも、M8(8mm)ではなく、ほぼM10なので、ケーブルのO型端子を10-8などに変更する必要があります。私の場合は少しでも接触面を多く取りたいので、8-8をリューターで削って穴を広げて使っています。10-8だと輪っかの部分が細くてちょっと頼りないように見えるので…

また、ボルトの締め付けに17mmのボックスレンチが必要になります。こちらもペンチ以外に新たな工具が必要になります(メガネでもいいですけど)

エンジンのクランキングには向かない

このオオツカオリジナルリチウムバッテリーは12V、24V、36Vとラインナップされていて、私のは36Vなので関係の無い話なのですが、12Vモデルはセルモーター回すのには向いてないとのことです。おそらく、オルタネーターとの兼ね合いのためかと思いますが、一応そのように聞きましたので記載しておきます。

バッテリーチャージャーのオンボード化は出来ない

ご覧の通り、防水防滴仕様の充電器ではないので、オンボード化は不可能かと思います。

とはいえ、バッテリー自体が軽いので、バッテリーを乗せ降ろししても全然苦になりませんけど。雨の当たらないところで充電しましょうということです。

充電時の電源の容量を選ぶケースがある

43V20Aで単純計算で860wほど使います。今のところ、ガレージのコンセントでブレーカーが落ちたことはありませんが、恐らく、他の充電器も併用して使うと落ちるのではないかと思われます。うちのガレージのコンセントは悲しいかな1個口なので、これの充電を終えてから他の充電器を使います。まぁ、どれだけ長くても2時間以内に充電が終わってしまうのであまり気にした事はありませんが(笑)

価格

リチウム自体が高いので、今後、コモディティ化して価格が極端に安くなるということが期待できません。やはり耐久性とのバランスかなと思います。今のところはメリットが非常に大きいので、その辺との兼ね合いかなと。

今までは毎年3~4発のバッテリーを購入していました。およそ4~6万円くらいの金額ですね。単純計算だと5倍持てばいいわけですが、重量や放電特性のメリットを考えると3~4倍で元が取れるかと思いますよ。

今のところ、気になったのはこれくらいかなという感じです。価格以外はあまりデメリットと言える点は無いような気がします。

まとめ

耐久性を含め、まだ不明な点はありますが、今のところ元気に使えてます!

おっさんになるとバッテリーの揚げ降ろしだけでヘロヘロになりますし、腰が死んでるので、本当に辛い作業から解放されたい。そんな人にはひっじょ~にメリットがあるプロダクトかと思います。

今後も定期的にレポートを公開していきますので、お楽しみに!

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